銅のやかん・鍋は体に悪いと言われる理由とは？安全性と正しい使い方

このように悩んでいませんか？

熱伝導の良さからプロの料理人にも愛される銅製のやかんや鍋。その美しい佇まいに惹かれ、購入を考えている方は多いかもしれません。

しかし、「銅のやかん・鍋は体に悪い」「緑青（ろくしょう）」「銅中毒」など、不安を感じる部分もありますよね。

そこでこの記事では、科学的根拠に基づき「銅のやかん・鍋は体に悪いのか？」という疑問を解決していきます。

また、銅鍋・やかんのメリットやデメリット、注意点、銅鍋のメッキが剥がれる問題についても深堀りします。

結論を言うと、銅のやかん・鍋は体に悪いものではありません。適切な銅のやかん・鍋の手入れを行えば、長く安全に使い続けられる調理器具です。

大切なのは、銅の特性を正しく理解し、適切な使い方をすることです。

＞＞【厳選】おすすめできる銅のやかん・銅鍋

銅のやかん・鍋は体に悪い？不安の科学的根拠を解説

銅は人体に有害な成分？体に悪いという真相

まず、そもそも銅は体に悪いのでしょうか？

この機会にぜひ知っていただきたいのは、銅が私たちの生命維持に不可欠な「必須ミネラル」であるという事実です。

銅は、体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。

実際、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準（2020年版）」においても、銅は重要な栄養素として位置づけられています。

成人（18歳～74歳）の1日あたりの推奨量は、男性で0.9mg、女性で0.7mgとされており、耐容上限量（これ以上摂取すると過剰摂取のリスクが高まる量）は7mgと設定されています。

このことからも、国がその必要性と安全な摂取範囲を明確に示していることがわかります。（出典：厚生労働省「日本人の食事摂取基準（2020年版）」）

銅は体内で様々な酵素の構成成分として機能し、私たちの健康を支えています。主な役割は以下の通りです。

血液の生成

鉄の利用を助け、赤血球のヘモグロビンを作るのに必要です。不足すると貧血の原因にもなります。

骨や血管の健康維持

骨や血管の結合組織を強化するコラーゲンやエラスチンの生成に関与しています。

抗酸化作用

体内の活性酸素を除去する酵素「スーパーオキシドディスムターゼ（SOD）」の構成成分として、細胞の老化や損傷を防ぎます。

体に悪いというイメージはなぜ？

このように、銅は私たちの体にとって有益な働きをする栄養素です。

ではなぜ「体に悪い」というイメージが生まれたのでしょうか。

それは、調理器具の不適切な使用により、一度に大量の銅を摂取してしまう「急性銅中毒」のリスクと混同されているためです。

通常の食事や、正しく手入れされた銅鍋からの溶出量で健康被害が起こることはまず考えられません。

気になる緑青｜銅鍋のサビは毒？

銅製品で最も心配されるのが、表面に発生する緑色のサビ「緑青（ろくしょう）」ではないでしょうか。

実は、「緑青は猛毒だ」という話は、かつて学校の教科書に載っていたこともあり、祖父母や親の世代から強く信じられてきました。

この情報が、銅製品に対する不安の最大の原因と言っても過言ではありません。

しかし、この「緑青＝猛毒」という認識は、現在の科学的知見では明確に否定されています。

この大きな誤解が解かれるきっかけとなったのが、昭和56年（1981年）から3年間にわたって行われた、当時の厚生省（現：厚生労働省）による大規模な研究です。

国立衛生試験所（現：国立医薬品食品衛生研究所）に依頼し、動物実験などを通じて緑青の毒性について徹底的な調査が行われました。

その結果、昭和59年（1984年）8月、厚生省は「緑青は従来考えられていたような毒性の強いものではなく、無害に等しい」という公式見解を発表しました。

緑青は毒という説が広まった理由

では、なぜこれほどまでに「緑青は毒」という説が広まったのでしょうか。

一説には、かつて銅の精錬技術が未熟だった時代に、ヒ素などの不純物が混入した粗悪な銅製品が出回り、それによって健康被害が起きたことが原因ではないかと考えられています。

また、歴史的に他の緑色の顔料（花緑青など）に猛毒のヒ素化合物が使われていたことから、緑色のサビ全般に対する危険なイメージが定着してしまった可能性も指摘されています。

銅中毒はやかんや鍋で起こる？その症状とは

緑青が無害であると理解できても、「銅中毒」という言葉自体に不安を感じる方は少なくないでしょう。

緑青の安全性と、銅の過剰摂取によって引き起こされる中毒は、全く別の問題として捉える必要があります。

銅中毒は、銅製品の不適切な使用により、食品や飲料に銅イオンが異常な高濃度で溶け出した場合に発生する、稀ですが現実に起こりうる健康被害です。

主な原因は、酸性の強い飲食物（スポーツドリンク、果汁飲料、酢の物、ソース類など）を銅製の容器や、メッキが剥がれた銅鍋で長時間調理・保存することです。

酸は銅の溶出を促進するため、意図せずして高濃度の銅を摂取してしまうリスクが高まります。

急性銅中毒の主な症状

万が一、高濃度の銅を摂取してしまった場合、摂取後30分から数時間で症状が現れることが一般的です。症状は摂取量によって異なります。

銅鍋のメッキが剥がれ始めたら危険？

銅鍋を愛用していると、いずれ直面するのが内側のメッキが剥がれてくる問題です。

キラキラしていた内側が摩耗し、ところどころ下地の赤みがかった銅色が見えてくると、「このまま使い続けても大丈夫だろうか？」「剥がれたメッキが料理に混入して体に悪いのでは？」と不安になるのは当然のことです。

まず知っておきたいのは、銅鍋の内面に施されているメッキの役割です。

日本の食品衛生法では、食品に直接触れる銅製の器具の内面には、錫（すず）または銀によるメッキ加工を施すことが定められています。

これは、主に銅が食品、特に酸性の強い食品と直接反応し、過剰に溶け出すのを防ぐための保護膜としての役割を担っています。

錫はそれ自体が非常に安定した金属で、食品に対する耐酸性も高いため、古くから安全な素材として食器などにも利用されてきました。

このメッキは、金属製の調理器具（お玉やヘラなど）の使用や、スポンジでの洗浄によって、物理的に少しずつ摩耗していきます。

これは銅鍋を使い込んでいく上での自然な経年変化であり、製品の欠陥ではありません。

メッキ剥がれは危険ではなく注意が必要のサイン

メッキが剥がれ、下地の銅が見えてきたからといって、その鍋が直ちに危険になるわけではありません。

剥がれた錫が微量に体内に入っても健康への影響はまずないとされています。

【厳選】おすすめしたい銅のやかん

銅製のやかんは、お湯を沸かすための道具にとどまらず、キッチンに温かみと上質な雰囲気をもたらす工芸品としての側面も持っています。

優れた熱伝導性により、お湯が素早くまろやかに沸き、日々のコーヒータイムやお茶の時間を一層豊かなものにしてくれます。

ここでは、長年にわたる実績と品質に定評があり、多くの愛用者に支持されているブランドから、特におすすめの銅製やかんをご紹介します。

【定番の一品】新光金属(SHINKO) 純銅ケトル

「最初に手にする銅製品」として、多くの方に選ばれているのが、金属加工の町として世界的に有名な新潟県燕市に本社がある、新光金属社の純銅ケトルです。

引用画像：楽天市場より

シンプルで飽きのこないデザインの純銅ケトルは、まさに定番中の定番。純度99.9%以上の純銅を使用しており、銅の持つ熱伝導性の高さを最大限に活かせるよう設計されています。

火にかけると驚くほど短時間でお湯が沸き、忙しい朝にも重宝します。

また、銅イオンの働きで水道水の塩素（カルキ）が分解されるため、口当たりの良い、まろやかな白湯を味わえるのも大きな魅力です。

使い込むほどに美しい飴色へと変化していく様は、まさに「育てる道具」。日々の暮らしに寄り添い、長く愛用できる逸品です。

【珈琲好きへ】Kalita(カリタ) 銅製ドリップポット

こだわりのコーヒーを淹れる時間を大切にしている方には、コーヒー器具の専門メーカーとして名高いカリタ社の銅製ドリップポットが最適です。

引用画像：楽天市場より

美しい輝きを放つ銅製のポットは、見た目の高級感だけでなく、コーヒーを美味しく淹れるための機能性を突き詰めて設計されています。

銅の高い熱伝導性と保温性により、ハンドドリップに最適な湯温を長時間キープしやすいのが特徴です。

また、鶴の首のように細く長い注ぎ口は、お湯を「点」で置くように繊細に注いだり、円を描くようにゆっくりと注いだりと、湯量のコントロールを自由自在に行えます。

引用画像：楽天市場より

これにより、豆のポテンシャルを最大限に引き出し、雑味のないクリアな味わいのコーヒーを実現できるでしょう。

至福の一杯を追求する方にとって、これ以上ないパートナーとなります。

【厳選】おすすめしたい銅鍋

銅鍋は、調理性能の高さからフランス料理のシェフや和食の板前など、火加減にこだわるプロフェッショナルたちに愛されています。

均一で素早い熱伝導は、食材の風味を最大限に引き出し、繊細な火加減の調整を可能にするため、一度使うとその違いに誰もが驚かされます。

特に、玉子焼きや煮物、ジャム作りなど、温度管理が仕上がりを大きく左右する料理において、その真価を発揮します。

ここでは、ご家庭での料理を格段にレベルアップさせてくれる、おすすめの銅鍋を厳選してご紹介します。

【玉子焼きを極める】中村銅器製作所 銅玉子焼鍋

「いつもの玉子焼きが、まるで料亭の味になる」

そんな感動を体験させてくれるのが、多くのプロ料理人から指名買いされる中村銅器製作所の「銅玉子焼鍋」です。

引用画像：楽天市場より

熱が鍋全体に瞬時に、そして均一に伝わるため、焼きムラができません。

弱火でもしっかりと熱が入り、ふっくらと厚みのある、美しい黄金色の玉子焼きを誰でも作ることが可能です。

使い始めは卵がくっつきやすいと感じるかもしれませんが、油を馴染ませながら使い込むほどに鍋が育ち、驚くほど調理しやすくなります。

引用画像：楽天市場より

この「道具を育てる」感覚も、銅鍋ならではの楽しみの一つです。

全国の寿司店や料亭で愛用され続ける、まさにプロ仕様の逸品。毎日の食卓に欠かせない玉子焼きだからこそ、本物の道具にこだわってみてはいかがでしょうか。

【和食の万能選手】新光金属 銅製雪平鍋

雪平鍋（ゆきひらなべ）は、煮る、茹でる、出汁をとるなど、日本の家庭料理に欠かせない万能鍋です。

引用画像：楽天市場より

雪平鍋を銅で作ることで、調理の精度が格段に向上します。

新光金属社の銅製雪平鍋は、銅の高い熱伝導性により、出汁の繊細な風味を損なうことなく、野菜の煮物なども短時間で味を芯まで染み込ませることができます。

また、銅イオンの効果で、ほうれん草などの青菜を茹でると、色が驚くほど鮮やかに仕上がります。

鍋の表面に施された槌目（つちめ）と呼ばれる打ち出し模様は、デザイン的な美しさだけでなく、鍋の強度を高め、表面積を広げて熱伝導をさらに効率化する役割も担っています。

内側には錫メッキが施されているため、日常の様々な料理に安心して使用可能。いつもの和食を、もう一段階上の美味しさに引き上げてくれる、頼れる相棒です。

銅のやかん・鍋は体に悪い説を払拭｜メリットや料理のコツ

銅鍋・やかんのメリットと驚きの効果

銅製の調理器具には、その特性から多くのメリットと優れた効果があります。これらは、料理の質を高め、調理をより快適にするものばかりです。

優れた熱伝導性

銅は他の金属と比較して圧倒的に高い熱伝導率を誇ります。ステンレスの約25倍、鉄の約5倍とされており、様々なメリットが得られます。

例えば、お湯が早く沸くため、調理時間を短縮でき、経済的です。また、鍋全体に均一に熱が伝わるため、焼きムラや焦げ付きを防ぎ、料理が美味しく仕上がります。

銅イオン効果

銅から微量に溶け出す銅イオンには、優れた効果があることが知られています。

これは「微量金属作用（オリゴジナミー作用）」と呼ばれるもので、以下の効果が期待できます。

塩素分解作用

水道水に含まれる塩素を瞬時に分解し、水をまろやかに、美味しくします。

抗菌・殺菌効果

細菌の繁殖を抑制する効果があり、衛生的です。

野菜の色彩を鮮やかに保つ

特に緑色の野菜を茹でる際に、鮮やかな色を保つ効果があります。

料理への効果

これらの特性により、銅鍋ややかんで調理することで、料理の仕上がりが格段に向上します。

風味豊かな料理

均一な加熱により、食材の旨味を最大限に引き出し、深みのある味わいになります。

栄養素の保持

短時間で調理できるため、食材の栄養価の損失を最小限に抑えられます。

色鮮やかな仕上がり

特に煮物や野菜料理において、見た目にも美しい仕上がりを実現します。

銅鍋・やかんのデメリットと使用上の注意

銅鍋ややかんに多くのメリットがある一方で、安全に長く使用するためには、いくつかのデメリットと使用上の注意点を理解しておく必要があります。

主なデメリット

価格が高い

他の素材の調理器具と比較して、銅製品は一般的に高価です。特に、職人による手作りの品はさらに高額になります。

お手入れに手間がかかる

変色しやすく、緑青の発生を防ぐためには使用後の水気をしっかり拭き取るなど、丁寧なお手入れが必要です。

IH非対応が多い

多くの銅製品はIHクッキングヒーターに対応していません。購入前に対応熱源を確認することが重要です。

使用上の注意事項

以下の使用方法は、銅の劣化を早めたり、銅の溶出リスクを高めたりする可能性があるため、避けるべきです。

調理後の食品を鍋に入れたまま放置

特に酸性の食品の場合、銅が溶け出しやすくなります。調理後は速やかに別の容器に移し替えてください。

炒め物や煎り物での使用

高温での調理はメッキの劣化を早める可能性があります。

酸性食品（カレー、味噌汁、トマト料理等）の長時間保存

これも銅の溶出リスクを高めます。

空焚き

鍋の変形や破損、メッキの劣化の原因となります。

急冷

熱い鍋を急に冷やすと、メッキや本体の歪みを引き起こす可能性があります。

銅のやかん・鍋を長く愛用する手入れ方法

銅製の調理器具を長く美しく、そして安全に使い続けるためには、適切なお手入れが欠かせません。日々のケアと定期的なケアのポイントをご紹介します。

使用後はすぐに洗浄

調理後、鍋が冷めたらすぐに中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく洗ってください。

金属たわしや研磨剤入りのクレンザーは、メッキを傷つける原因となるため避けてください。

しっかり乾燥させる

洗い終わったら、すぐに清潔な布で水気を拭き取り、完全に乾燥させてください。水分が残っていると、緑青が発生しやすくなります。

定期的なお手入れ（緑青が発生した場合）

万が一、緑青が発生してしまった場合でも、適切に対処すればきれいに除去できます。

クリームクレンザーで除去

緑青が軽度の場合、市販のクリームクレンザーを柔らかい布につけて磨くと除去できます。

酢と塩のペースト

頑固な緑青には、酢と塩を1:1で混ぜたペーストを柔らかい布につけて磨く方法も効果的です。磨いた後は、洗剤でよく洗い流し、水気を拭き取って乾燥させてください。

銅鍋料理のコツ｜カレー・味噌汁・天ぷら

銅鍋は特定の料理において、その性能を最大限に発揮します。ここでは、代表的な料理での銅鍋活用のコツをご紹介します。

カレー

銅鍋でカレーを調理することは可能ですが、調理後すぐに別の容器に移すことが非常に重要です。

カレーは酸性の食品であり、銅鍋に入れたまま長時間放置すると、銅の溶出量が増える可能性があります。特に、一晩の作り置きは厳禁です。

銅鍋で調理することで、熱が均一に伝わり、スパイスの香りが引き立ち、より風味豊かなカレーに仕上がると言われています。

味噌汁

味噌汁もカレーと同様に、塩分と酸性度が高いため、調理は可能ですが長時間放置は危険です。

特に、塩分は銅の溶出を促進する可能性があるため、調理が終わったらすぐに別の容器に移し替えるようにしてください。

短時間の調理であれば、銅の熱伝導性の良さが活かされ、まろやかな味わいの味噌汁が作れます。

天ぷら

銅鍋は天ぷら調理に最適と言われています。その理由は、銅の熱伝導率の高さにあります。

油の温度が均一に保たれやすく、食材を入れても油温が下がりにくいため、カラッと美味しい天ぷらを揚げることができます。

プロの料理人も天ぷらの調理に銅鍋を愛用することが多く、その仕上がりの良さは折り紙付きです。

気になる銅のやかん・鍋の値段相場は？

銅製のやかんや鍋は、その高い機能性と美しさから、他の素材の調理器具と比較して高価な傾向にあります。ここでは、一般的な価格相場をご紹介します。

価格は、製品のサイズ、厚み、デザイン、そして職人による手作りかどうかによって大きく変動します。

特に、熟練の職人が手作業で仕上げた製品は、耐久性やデザイン性が高く、高価になる傾向があります。

まとめ：銅のやかん・鍋は体に悪いと言われる理由とは？安全性と正しい使い方

いかがでしたか？銅のやかんや鍋は体に悪いという長年の疑問について、科学的な根拠をもとに詳しく解説してきました。

緑青の安全性や銅中毒のリスク、そして正しい使い方を理解していただけたでしょうか。銅のやかんや鍋は体に悪いものではなく、適切に使えば料理を格段に美味しくしてくれる優れた調理器具です。

ぜひ正しい知識を身につけて、銅製品の魅力を日々の暮らしに取り入れてみてください。

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